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はるのかぜ

第68章 心も折れる、チョークも折れる

「今回の問題の選び方では、3と2と1でできた数字であっても321と123は別物として扱われます。こんな風に同じ文字であっても順番の違いまで区別する選び方を」

そう言ってハルが黒板に字を書こうとすると再びチョークが折れてしまいました。しかし、ハルは授業を続けます。

「順列って言ってました。じゃあ、ここからは新しい内容に入っていきます。」

ハルは新たな問題文を書こうとしましたが、またチョークが折れてしまいました。このあともちょっと書いては折れ、ちょっと書いては折れを繰り返していきました。チョークが折れるごとに生徒の笑い声はだんだん大きくなっていきました。

 初授業を終えたハルは脱力感でいっぱいでした。次の時間が空き時間だったのでハルはゆっくりと職員室に向かっていました。

「あぁ、私はやっぱり向いてなかった〜」

そう呟くとハルはさらに全身の力が抜け壁にもたれかかってしまいました。

「どうかされましたか?」

突然誰かに呼びかけられハルは我に返りました。声の主は草野校長でした。

「体調でも悪いですか?ならば、保健室で休まれませんか?」

「だ、大丈夫です。ただちょっと…」

「ちょっと、どうされました。」

「授業失敗しちゃったなぁって思ってまして…。」

「そうでしたか。人生初めての授業、そんなこともありますよ。大事なのはあなたが一生懸命やることです。あなたが一生懸命やっていれば、例え失敗しても生徒に思いは伝わります。気を落とさず頑張りましょう。」

「はい。」

ハルが頷くと草野校長は去っていきました。初めての授業が失敗に終わったハルでしたが、草野校長の励ましはハルの心に響いたのでした。

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