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はるのかぜ

第70章 顧問として

その頃、すでに下足箱近くに向かっていた生徒たち数名は、偶然、赤西先生と出くわしました。

「あっ、今日はごめんね。忙しかっただろうに、顔出せなくて。」

「いえ、内海先生がいろいろ手伝ってくださったんで大丈夫でした。」

「内海先生が?」

「はい。台本の印刷し直しとかいろいろ手伝ってくれて助かりました。」

「そっか、それはよかった。」

 それからしばらくして、ハルも職員用の下足箱へと向かいました。

「内海先生。」

すると、背後から誰かが呼ぶ声が聞こえました。声の主は赤西先生でした。

「さっき、生徒から聞きました。今日は演劇部のフォロー、いろいろしてくださってありがとうございました。」

「とんでもない。大したことなんてできてないのに。」

「いやー、先生もこれから忙しい時なのに、お任せして申し訳ない。今日は助かりました。本当に無理されないでくださいね。」

「はい。じゃあ、私はこれで失礼します。」

「お疲れ様です。」

赤西先生の一言で、ハルは今日、初めて演劇部の顧問らしいことができたと感じました。そして、まもなく、ハルの教育実習は終わりへと近づいていたのです。

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