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はるのかぜ

第71章 大学の話

「よし、今日の授業だけど、教育実習生の内海先生が来られてる。教育実習生、つまり現役の大学生だ。来年の今頃はこの中にいる多くが大学生になっている。だから今日は、通常の授業ではなく、内海先生から大学の話をしてもらおうと思う。内海先生お願いします。」

国分先生の一声でハルは前に出ます。

「じゃあ、今、国分先生からお話があったように、今日は私から大学の話をします。ちなみに私は金愛大学の情報工学部という所に通ってます。ここにいる皆さんの多くは理系の大学を目指してるんですよね。」

数名の生徒が頷きます。

「じゃあ、みんなにお尋ねします。理系の大学ってどんなことしてるイメージがありますか?」

「理科とか数学の内容をひたすらやる!」

「実験とかいっぱいやってそう。」

ハルの問いかけに、数名の生徒が反応します。

「なるほどね。確かにどれも正解です。私も理科や数学のような内容は大学でも沢山やりましたし、実験みたいなことも実際にやってます。でも、実は理系大学で学習することはこれだけではないんです。私の大学では色んな科目がある中で、大きく2つに分類されます。」

ハルは黒板に「共通教育科目」と「専門科目」と書きました。

「それがこの2つです。まず、専門科目。これは自分の所属する学部に即した科目です。皆さんがさっき言ってた理科や数学に関連する内容とか実験とかが含まれます。一方、共通教育科目は学部に関係なく学習する科目です。内容としては法学とか心理学とか、あと英語もありました。英語なんて文系じゃないって思った人もいると思うんですけど、実は理系でも必要なんです。多分、国分先生も英語の授業は受けてると思います。そうですよね、国分先生?」

「もちろん。」

「なぜ、理系で英語が必要かって言うと、理系科目は世界で通用するからです。」

この日ハルは1時間の授業をフル活用し、大学の話を6年生の生徒にしました。現役大学生であるハルの声は生徒の心にしっかりと届いていました。

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