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はるのかぜ

第73章 ハルの研究授業

今日は教育実習中の一番の大仕事、研究授業の日です。ハルは朝から教育実習生用の控室で最後の準備をしていました。これまで何度か失敗もありましたが、何故か今日はうまく行きそうな気がハルにはしていました。
 授業が始まる時間が近づき、ハルは教室へと向かいます。教室の後方には国分先生や亀梨先生をはじめとする数学の先生が勢ぞろいしていました。草野校長や手越教頭、森内教頭、さらには前田先生の姿までありました。やがて、始業を告げるチャイムが鳴り、学級委員が号令をかけます。

「起立!気をつけ!礼!」

「お願いします。」

全員が着席するのを見計らい、ハルが口を開きます。

「じゃあ、今日はまた新しい章に入ります。教科書は32ページを開いてください。」

生徒たちが教科書を開く間にハルは黒板に「6 二項定理」というタイトルを書きました。

「そしたら、まずは復習問題から入りましょう。」

続けてハルは黒板に復習問題を書きます。

「この2つの式を展開した時の答えを考えてみましょう。」

ハルの合図で生徒たちは問題を解いていきます。生徒たちの手が止まり始めたのを見計らい、ハルは再び口を開きます。

「じゃあ、答え書いてくれる人!」

数名の生徒が手を上げます。

「じゃあ、最初の問題を安田くん。2問目を渋谷くん。」

ハルに指名された生徒2人は前に出て、黒板に答えを書き始めます。2人が着席するのを見届けてハルは続けます。

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