テキストサイズ

はるのかぜ

第73章 ハルの研究授業

「はい、2人ともばっちりですね。こっちの(a+b)の2乗は中学校で、(a+b)の3乗は数Ⅰで展開公式を習ったと思うので、簡単だったと思います。じゃあ、ここで新しい問題に入ります。」

そう言うと、ハルは黒板に(a+b)の4乗と書きました。

「さぁ、この答えはどうなるでしょう?」

ハルの呼びかけに対し何の反応もありません。

「さすがに皆さんぽかんとしてますね。じゃあ、ヒントです。この(a+b)の4乗は、こうやって(a+b)の3乗にもう1回目(a+b)をかけたものとして考えます。それじゃあ、ここから先は考えてみましょう。」

ハルのヒントで生徒たちは徐々に手を動かし始めます。ハルはまた、生徒たちの手が止まり始めたのを見計らい口を開きます。

「じゃあ、この問題の答えを書いてくれる人。」

再び数名の生徒が手を上げます。

「じゃあ、一番早かった大倉さん、お願いします。」

ハルに指名された女子生徒が、黒板に続きの式を記載していきます。

「はい、大倉さんありがとうございます。展開して同類項をまとめるとa4乗+4a3乗b+6a2乗b2乗+4ab3乗+b4乗になります。今、皆さんは大倉さんが書いてくれたやり方で解いたと思いますが、この同類項をまとめるって作業、結構面倒だったと思います。」

ハルの問いかけに生徒たちは頷きます。

「そこで、今からとある裏ワザをご紹介します。それは、「係数だけを取り出す」という方法です。じゃあ、今解いてもらった(a+b)の4乗はちょっと複雑なので、後で試します。まずは、シンプルに(a+b)の2乗を例にお話します。これを展開するとさっき安田くんに解いてもらった様にa2乗+2ab+b2乗でした。じゃあ、これを(x+y)の2乗にすると髙木くん、答えはどうなりますか?」

「x2乗+2xy+y2乗です。」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ