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はるのかぜ

第73章 ハルの研究授業

「そうですね。この2つの式ですけど、使われているアルファベットは見ての通り違います。でも、文字の前にある数字はどちらも1・2・1になってます。この文字の前にある数字を係数って言ってましたよね。今からやる「係数だけを取り出す」というのは文字の部分を後回しにして、この係数の部分だけに着目をして答えを出していきましょうという方法になります。じゃあ、まずは(a+b)の2乗を例にやってみます。これはつまり(a+b)を2回かけたってことですよね。そして、この2つの文字の前の数はどちらも1です。なので、この係数だけを並べます。そして、この(a+b)を2回かけるので、この下にもこうやって1を2つ並べます。そしたらまずは縦にかけます。答えは1です。なので、この下に1って書きます。次は斜めにかけます。これも答えは1なのでその隣に1って書きます。今度はもう1つの文字の係数をかけます。これも答えは1です。この答えは1つずらしてこの下に書きます。最後にもう1回縦にかけます。これも1です。では、今、かけ算をして出た答えは縦方向に足します。ここは1、次は2、最後は1。こうすると、確かに展開したときの答えの係数になってますね。あとは、これに文字をつければ出来上がりです。じゃあ今度は文字をどうつけていくかです。(a+b)の2乗の答えはa2乗+2ab+b2乗でした。今度はこの文字の決まりに注目します。まずaですが、一番左側の項はa2乗と2つある状況です。次の項は2abなのでaは1つです。一番右側の項はbしかないのでaはありませんね。つまり、()の左側の文字は、展開した時の答えの右にいくほど1つずつ減ってます。一方、()の右側の文字は右に行くほど1つずつ増えてます。じゃあ、このやり方で、今度は(a+b)の3乗をやってみましょう。3乗の場合は係数の1を3つ並べると、さすがにややこしくなるので、a2乗+2ab+b2乗に(a+b)をかけたって考えるとやりやすくなります。」

生徒たちは、たった今、ハルが教えた解き方で必死に問題を解いていきます。やがて、正しい答えが出ると生徒たちから驚きのリアクションが出始めます。ハルは今日の授業が今までの実習の中で一番手応えを感じたのでした。

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