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はるのかぜ

第76章 1人だけ置いていかれてる

教育実習を終えたハルは久しぶりに金愛大学へと向かいました。教室へと向かったハルは涼と麻里に声をかけます。

「おはよう。」

「おはよう、ハル。久しぶり。」

ハルの姿を見るなり涼が笑顔で言いました。

「どうだった?教室実習?」

麻里がハルに尋ねます。

「あっという間の3週間だったけど、楽しかった。」

「そうなんだぁ。元気そうに帰ってきてくれて安心した。」

ハルの反応に涼が再び笑顔で返答しました。

「ありがとう。」

「内海先生って生徒から呼ばれてたの?」

麻里がハルに質問します。

「そう呼ぶ生徒も居たし、あとなぜか私が担当したクラスの担任の先生が「ハル先生」って言うもんだから「ハル先生」とも呼ばれてた。」

「へぇ〜、ハル先生かぁ。なんか、ハルらしいね。そうだハル、私から重大発表があるの。」

突然麻里が重大発表と発言しました。

「何?重大発表って。」

ハルが興味深く聞き返します。

「実はね、私、就活内々定が出たの。」

「すごいじゃん。おめでとう。」

「ありがとう。もちろん、内々定だからまだ油断はできないけど。」

「でも、少し希望の光が見えてるから一安心じゃない。」

「まぁね。」

「ハル、実は私も、先週末に内々定出たばかりなの。」

今度は涼が口を開きました。

「えっ!2人ともすごいね。涼もおめでとう。」

ハルは涼にも笑顔で言いました。その直後、チャイムが鳴り授業が始まりました。ハルは2人の前で笑顔を見せたものの、自分だけまだ進路決定の兆しが見えていないことについて、内心は少しショックでした。

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