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はるのかぜ

第7章 気持ちが休まる時、緊張感がほどけない時

新学期が始まったある日、ハルは塾で理科の授業を受けていました。

「それではですね、今から答え合わせをします。じゃあ、岡本、最初の問題文読んでくれ。」

理科の勝俣樹生(みきお)先生は愛に問題文を読むように言いました。

「図1、2は、それぞれ自然の雑草林と手入れされたスギ林のスケッチである。」

愛がそう読むと教室から微かな笑い声が立ちました。

「ちょっと待った!お前、今、2行目の漢字、何て読んだ?」

勝俣先生がすかさず突っ込みました。

「雑草林。」

「その漢字をどう読んだら雑草林になるんですか?よし、そしたら高橋、これは何て読む?」

「えっ?ざっきばやし?」

有紀のその一言で、教室は大爆笑の渦に包まれます。ハルもそのやり取りはおかしくて、お腹を抱えて笑いました。ちなみに、愛も有紀も読めなかった漢字は雑木林(ぞうきばやし)です。

授業直後の休み時間、3人はいつものように集まりました。もちろん、話題は先程の雑木林の読み方についてです。

「もう、2人ともおもしろいんだから。笑いすぎてお腹痛くなっちゃったわよ。」

ハルは楽しそうにそう言いました。

「あの字は「そう」って読まないよね。」

有紀が言いました。

「でも、「ざっきばやし」もないわよ。」

愛も言い返します。ただし、2人には反省の色はまったくありません。でも、ハルはそんな2人のやり取りに和まされていました。

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