『はるのかぜ』第77章「助けてくれたのは生徒だった」　161ページ

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はるのかぜ

第77章助けてくれたのは生徒だった

「ハル先生、頑張ってください。」

「ハル先生、応援してます。」

「ハル先生、ファイト！」

生徒たちは口々に言います。

「うそ！みんなで来てくれたの？」

「はい、みんなで先生のこと応援しようと思って。」

ハルはさらに生徒たちに近づきます。その時、突然目覚まし時計の音がして、ハルは現実へと引き戻されます。ハルが居る場所はベッドの上で、枕元には教員採用試験の過去問題集がありました。

「なんだ、夢か。」

ようやく、現実を理解できたハルが言いました。問題集を見ながら、ハルはいつの間にか眠りに就いていたのでした。

　ハルは大学へと向かいました。そして、夢で出てきた場所と同じ場所を通ります。しかし、誰もハルに声をかける人はいません。ハルは後ろを振り返ってつぶやきました。

「居るわけないよね。」

ハルはそのまま、教室へと向かいました。残念ながら正夢とはならなかったのです。でも、今日のハルは上機嫌でした。夢ではありましたが、生徒たちが自分を助けに来てくれた様に感じたのです。そして、この夢を見たことで、ハルは自分がただの学生ではなく、もう教え子を持つ1人の教師なんだと実感したのでした。