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はるのかぜ

第79章 一次試験が始まった

7月も半ばに入ったある日曜、ハルは早朝から電車に揺られていました。そうです、遂に教員採用試験の一次試験が始まろうとしているのです。試験会場は山口市内の高校ということで、ハルは早起きして、日頃あまり乗ったことのない路線の電車で会場へと向かいます。

 山口駅に着いたハルは、初めて下車する駅で右も左もわからない状況でした。試験開始時間には十分に余裕があったため、ハルは改札口前のベンチに座り、カバンから地図を取り出しました。地図と駅周辺を照らし合わせながらハルは試験会場へと向かいます。会場が近づくにつれて、徐々に同じ方向へと向かう人が増え、ハルも少し安心していました。

 試験会場の中に入ると周りには全く知らない人ばかりいて、ハルは少しばかり緊張していました。そんな時、ハルはふと加藤先生が言ったセリフを思い出しました。

「教師を目指すという希望を捨てず、最後まで頑張ってください。」

それから、ハルは周りを気にせず、持ってきていた問題集を見直し始めました。やがて、試験監督が3名教室にやって来ました。

「では、只今より筆記試験の問題用紙と解答用紙を配布します。こちらの合図があるまではそのままの状態にしておいてください。」

試験監督がそう言うと、1人1人に問題用紙と解答用紙を配布し始めました。全員に問題用紙と解答用紙が行き渡って数分後、試験監督が口を開きます。

「では、時間になりましたので、解答を始めてください。」

受験者全員が手を動かし始めます。ハルも教師に対する強い思いを抱きながら、1つ1つ問題を解いていきます。

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