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はるのかぜ

第86章 初授業、しかし…

今日はハルが教師になって、初めての授業の日です。ハルは教科書を片手に3年5組の教室へと向かいました。チャイムの音とともに学級委員の五関翼が号令をかけます。

「起立!気をつけ!礼!」

「お願いします。」

生徒たちもハルも口々に挨拶します。生徒たちが着席するタイミングを見計らい、ハルが口を開きます。

「じゃあ、今日は教科書13ページからの内容に入ります。」

ハルの一声で生徒たちは教科書を開きます。その間にハルも黒板に「1章 式の計算」というタイトルを書きます。

「今日からは「式の計算」という内容に入っていきます。ちなみに、中学校の数学で「式の計算」というタイトルが出てくるのは実は今回が2回目なんです。どこで出てきたか覚えてますか?」

ハルの呼びかけに反応する生徒はいませんでした。

「もう、忘却の彼方かな?実はこのタイトル、ちょうど1年前、2年生の最初の頃に出てきたんです。という訳で、今日からの内容は2年生の最初の頃にやっていた内容を生かしつつ、さらに1歩レベルアップした内容を学習していきます。ということでまずは1年前の復習から入ります。」

続いてハルは黒板に「単項式」「多項式」と書きました。

「1年前の数学ではおそらくこの2つの言葉が出てきたと思います。それぞれどんなものだったか思い出してみましょう。じゃあ、今日は13日だから佐久間くんに聞いてみましょうかね。単項式ってどんなものか覚えてますか?」

ハルがそう言って、すばるに声をかけると、すばるは不機嫌な表情で立ち上がりました。

「俺、数学嫌いなんで。」

そう言うと、すばるはそのまま教室を出ていきました。

「ちょっと、どこ行くの?」

ハルは慌てて追いかけようとします。すると、隣の席にいた二階堂比呂が言いました。

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