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はるのかぜ

第87章 抱えていた家庭の問題

自分が原因ではないと言われながらも、初授業の途中ですばるに出ていかれて、ハルは少し落ち込みかけていました。なんとか1日の仕事を終え、ハルは自宅へ向って歩いていました。すると、たまたま通りかかった公園のベンチにすばるが1人座っていました。

「佐久間くん?」

ハルが声をかけるとすばるは急いで逃げようとします。ハルは必死の思いですばるの腕を掴みます。

「離せよ!」

「待って。こんなところで何してるの?お家の人、心配してるでしょ。」

「誰も居ねぇから大丈夫なんだよ!」

「誰も居ない?どういうこと?」

ハルの問いかけにすばるは何も答えません。その直後、すばるのお腹の音が鳴りました。

「まだ晩ご飯食べてないんじゃない?ここで話すのも落ち着かないから、ちょっとついてきて。」

ハルはそのまま、すばるを喫茶店へと連れて行きました。食事をしながらハルはすばるに話しかけます。

「どうして、こんな時間まで1人で公園にいたの?」

「実は俺が中学に入る直前、親父の会社倒産して、親父もお袋も夜のバイト生活なんだ。俺ん家、妹と弟もいて、正直今の生活苦しくて。昨日、電気も止められたんだ。」

「そうだったんだぁ。それは大変だね。私、何かできることがあるかはわからないけど、力になれることがあればいつでも力になるよ。」

「今日は、悪かった。」

「えっ?」

「授業中、教室から飛び出したりして。」

「あぁ、大丈夫、大丈夫。」

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