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はるのかぜ

第88章 潜んでいるいじめ

翌日、千恵子は湯島中学へと向かいました。

「内海先生、渡辺飛鳥のお母さんが来られてます。」

突然、山田校長から声をかけられたハルは応接室へと向かいます。

「はじめまして。担任の内海と言います。」

「先生、飛鳥がいつもお世話になってます。お忙しいところすみません。今日は飛鳥のことでご相談がありましてお伺いしました。実は昨日、偶然、飛鳥の背中から腕辺りにあざがあることに気づきまして…。」

「あざ?」

「はい。本人は帰りにこけたって言ってるんですけど、場所や数から考えても誰かに殴られたとしか思えなくて…。あの子、学校で誰かにいじめられてないか心配になって…。」

「そうだったんですね。私もいろいろと確認してみたいと思います。」

「先生、ありがとうございます。」

 その日の昼休み、ハルは早速、飛鳥を個別に呼び、話を聴いてみました。

「今日ね、お母さんが来られて、昨日、あなたの体にあざができてたのが、心配になったって言われてたの。学校で何かあった?」

「いいえ。」

飛鳥はハルに軽く一言そう言うとそれ以上は口を開きません。

「そう。もし、何か困ったことがあったら、何でも言ってね。」

ハルも飛鳥にはこれ以上問い詰められる状況ではないと悟り、そう声をかけました。しかし、飛鳥の様子から、ハルも3年5組でいじめが発生していそうだということを感じ始めていたのでした。

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