テキストサイズ

はるのかぜ

第90章 本当に潜んでいたいじめ

千恵子からの連絡を受け、ハルは一刻も早く飛鳥へのいじめを見つけ出さなければならないと感じていました。ハルはまず、昨日、1日の様子を思い出してみました。まず、飛鳥を呼んだのが昼休みで、その時は飛鳥の制服が汚れている様子はありませんでした。その後、5時間目と6時間目の授業を終え、掃除時間がありました。最後に帰りのホームルームがあり、1日が終わったのです。帰りのホームルームの時も、ハルが見た限りでは、飛鳥に異常はありませんでした。そうすると、飛鳥へのいじめはホームルーム後に発生した可能性が高いと思いました。

 今日も帰りのホームルームの時間がやって来ました。

「はい、じゃあ私からの伝達は以上です。」

「起立!気をつけ!礼!」

「さようなら。」

学級委員の五関翼が号令をかけ、生徒たちが挨拶をします。いつもならハルは職員室に戻るのですが、今日は飛鳥の跡をつけてみることにしました。飛鳥はこの前見かけた時と同じように里香、加津、七重の3人と一緒に教室を出ます。学校を出て、しばらくついて行くと4人は公園に向かいました。

「飛鳥、今日はなおみから理科のノート返してもらえたのよね。」

昨日と同様に加津が飛鳥に問い詰めます。

「それが、今日、なおみ、学校を休んでて…。」

飛鳥は弱々しく言いました。

「は?もう嫌がらせとしか思えないんだけど!昨日、言ったわよね!今日、絶対返してもらえって!私のテスト勉強、どうしてくれるのよ!」

そう言うと、加津は飛鳥を突き飛ばしました。その時でした。

「何してるの?」

全員が声のする方を見ます。声の主はハルでした。

「先生!」

加津は思わず言いました。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ