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はるのかぜ

第90章 本当に潜んでいたいじめ

それからすぐに、公園の片隅にハルと4人の生徒たちは集まり、話し合いが始まりました。

「じゃあ、元々渡辺さんは松村さんに理科のノートを貸す約束をしてたのね。」

「はい。」

飛鳥は弱々しく答えます。

「で、そのノートを先に3組の大西さんに貸してしまったことが今回のトラブルの原因だったわけね。」

「はい。」

引き続き、飛鳥は弱々しく答えます。

「そしたら、渡辺さんの良くなかった点は約束してたけど、松村さんより先に大西さんにノートを貸してしまったところね。そこは、松村さんには謝らないとね。」

「はい。ごめんなさい。」

「それから、松村さんたちのいけなかったことは暴力をふるったことね。」

「はい、すいませんでした。」

加津も弱々しく言います。

「謝るのは私じゃないでしょ。」

すぐに加津は飛鳥の顔を見て言いました。

「飛鳥、ごめん。」

加津が頭を下げるとそれに続いて里香と七重も頭を下げます。

「何かトラブルが起きたら、手を出すんじゃなくて、誰かに相談してほしかったなぁ。」

「相談?」

加津が聞き返します。

「うん。だって理科のノート持ってるのは渡辺さんだけじゃなくて、他にも沢山いるでしょ。それに理科なら玉森先生に相談するとか、私に相談してくれたら玉森先生に頼むことだってできたわ。よかったら、このあと玉森先生に頼んでみようか?」

「大丈夫です。とりあえず、明日まで待ってみます。それで、戻ってきそうになければ、お願いするかもしれません。」

「わかった。じゃあ、明日駄目だったら、必ず相談してね。」

「はい。」

加津は頷きました。

 こうして、飛鳥へのいじめ問題は大きなトラブルへと発展せず、無事終息を迎えたのでした。

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