テキストサイズ

はるのかぜ

第91章 3枚のガラス

「俺がこのスーパーボールを投げて遊んでたら、1枚目のガラスに当って、そこからボールが次々跳ね返って…。」

智久はかなり弱々しく言いました。

「そもそもなぜそんなものがここにあるんですか?」

知念教頭がスーパーボールを持っている理由を尋ねます。

「朝、来るとき拾ったんです。」

慶一郎が説明します。

「言っておくけど、君たちは最上級生だぞ!下級生のお手本になるべき立場の人間がこんなことでは困ります。内海先生からも3人にはしっかりと指導をお願いします。」

「はい。お騒がせしてすいませんでした。」

知念教頭の申告に対し、ハルは頭を下げます。

 知念教頭の話が終わった後、ハルは3人とともに3年5組の教室へと向かいます。

「でもやったのは俺たちなのに、なんで先生が教頭に頭を下げるんだよ!納得いかねぇよ。」

慶一郎が不服そうに答えます。

「私はあなた達の担任なの。自分のクラスの生徒が何か起こしたら、担任として頭を下げるのは当然のことよ。とりあえず、今から美術の授業でしょ。後片付けは先生たちでやっておくから、あなた達は荷物取って移動しましょう。」

ハルはそう言って、3人を見送りました。割れたガラスの後片付けはすでに森本先生と玉森先生が始めていました。

「すみません。私も手伝います。」

ハルも箒片手に割れたガラスを片付け始めます。

「いやー、中間たちは派手なことやりましたねぇ。」

玉森先生が苦笑いしながら言いました。

「でも、これだけ派手にやったのに、けが人がいなかったのはよかったわよ。」

森本先生は落ち着いた口調で言いました。

「本当ですね。」

ハルも森本先生の発言に頷きながら散乱したガラスの破片を片付けていきました。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ