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はるのかぜ

第92章 実験中の大惨事

ある日、3年5組の生徒たちは玉森先生の理科の授業を受けていました。

「じゃあ、今日は前回予告したようにいろいろな物を酸化させる実験をやる。酸化していく時の様子やその後にできた物質の様子をしっかり観察してくれ。じゃあ、早速、準備ができた班から始めてくれ!」

玉森先生の一声で生徒たちは準備を始めます。阿部育美、濵田みのり、京本祐也、向井隆平の班も実験開始に向けて打ち合わせをしていました。

「とりあえず、誰が何するか決めようぜ!」

祐也が言いました。

「じゃあ、じゃんけんで勝った順番にやりたい役割を決めていこうぜ!」

隆平が提案します。

「じゃんけんポン!」

「よっしゃ!じゃあ、俺、準備で。」

一番勝ちの祐也はそう言うと、実験に必要な道具を準備し始めます。

「じゃんけんポン!」

今度は育美が勝ちました。

「じゃあ、私は記録係をするね。」

「じゃんけんポン!」

「そしたら、俺は実験で使う物質を持つ係。みのりは火を管理する係をお願い。」

「うん。」

隆平の指示に、みのりはなぜか弱々しく答えます。

 しばらくて、祐也は実験に必要な道具を一通り揃えました。

「じゃあ、火着けようか。みのり、お願い。」

「うん。」

育美からそう言われてもみのりは元気のない声で返答します。みのりは箱からマッチを1本取り出し、ガスバーナーに点火します。その直後、みのりは火の着いたマッチをそのまま落としてしまいました。火はみのりのノートに引火し、激しく燃えはじめ、生徒たちは大騒ぎです。玉森先生が急いで消火器を持ってきて消し止めました。

「大丈夫か、お前ら!」

玉森先生が声をかけると、みのりは放心状態でした。

 その後すぐ、ハルは玉森先生とみのりと一緒に知念教頭から呼ばれました。

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