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はるのかぜ

第8章 再び引き裂かれそうな道

その日の夕食時、弥生は正木先生との面談の話をハルとしました。

「今日の面談、正木先生が担当してくださったわ。」

「へぇー、木野先生じゃなくて正木先生だったんだ。確かに、正木先生、塾の立ち上げの時から居るって言ってたもんね。」

「長年進路指導されてるみたいで、話もものすごく信頼できるものだったわ。」

「そうなんだ。」

「それでね、進路のこといろいろ話したんだけど、ハルの志望校、淡巻高校よりも青美高校のほうがいいんじゃないかしら?」

「えっ?」

「正木先生曰く、淡巻は来年度から総合学科になって、普通科ではなくなるし、大学進学に対応できるかどうかわからないって言うのよ。それに、淡巻 って通うの大変なところあるじゃない。バスと電車乗り継がないといけないし、そうすると定期代だって馬鹿にならないわ。」

「私、淡巻受けたいもん。塾で高橋さんと一緒に同じゴール目指そうって頑張ってるんだもん。」

「人が行くから一緒に行こうなんて、高校はそんな決め方するものじゃないでしょ!」

「じゃあ、遠いから近いところに通わないといけないの?普通科じゃないから志望校にしちゃいけないの?」

「正木先生だって、青美の方がハルの為には、いいっておっしゃってるのよ。」

「淡巻ってそんなに悪い学校なの?私、淡巻受けちゃいけないの?」

「絶対、青美のほうがいいって。」

「何なの青美、青美って!このタイミングで目標変えられたら、私だって困るわよ!私だって、今まで必死に勉強してきたつもり。でも、もうその努力も無駄みたいね!もう、嫌だ!高校受験なんてどうなってもいい!」

そう言うとハルは自分の部屋に駆け込んで行きました。このときハルには、1年前の理不尽に塾を辞めさせられた時の恐怖が蘇っていました。

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