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はるのかぜ

第9章 壊れはじめた心

弥生から進路変更の話を告げられたハルは、ものすごくショックを受けていました。なんだかやる気も急になくなった感じです。浮かない顔で学校の廊下を歩いていると、後方から何か触られるような感覚がありました。

「キャーッ!」

ハルが叫ぶと男子生徒が逃げながらこう言いました。

「ナイスなケツだぜ!」

ハルの学校生活には油断も隙もありません。

その日の給食時間の終わり時、ハルは放送当番のため、放送室へと向かいました。予定時刻に放送を終えたハルは放送室で1人、憂鬱な気持ちになり、ため息をつきました。そして、ため息と共に目線を落とした先に見えたのはチャイムの鳴る時間を設定する機械でした。ハルは入学当初から放送部に所属しているので、放送室にあるものはある程度知っています。その機器は大事な機器なので、生徒は絶対触ってはいけないというお約束でした。しかし、次の瞬間、ハルはその機器のスイッチを自ら触れたのです。しばらくスイッチをいじったハルはそのまま教室へと戻りました。

異変は、そのあとすぐの昼休みに起こりました。ハルは加奈と一緒に図書室に居ました。まだ、昼休み真っ只中の時間ですが、突然校内にチャイムが鳴り響きました。図書室に居た生徒全員が不思議そうな顔をしています。加奈も言いました。

「なんで、こんな時間にチャイムが?」

「間違いかなぁ?」

っとハルは言いました。しかし、このときハルは心の中で笑っていました。

その頃、職員室でも思わぬ時間に鳴ったチャイムに大騒ぎです。チャイムの設定を管理している教務主任の中村健一先生は急いで放送室を見に行きます。

「あれ?なんで短縮授業の設定になってるんだ?おかしいなぁ。」

状況を確認した中村先生はひとまず放送をしました。

「先ほどのチャイムは間違いです。」

さらに、それから一週間後、ハルは放送終わりにイタズラを考えました。職員室にある緊急放送用のマイクを立ち上げると、放送室の機材も連動して自動的に立ち上がることをハルは知っていました。そこで、ハルは放送室の機材の電源を切った状態で、近くにあった拡声器を「コールサイン」と書かれたスイッチの上に置いて放送室を出ました。

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