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はるのかぜ

第96章 掃除をサボる生徒たち

ある日の掃除時間のことでした。桐山めぐみ、重岡ひとみ、戸塚咲子、菊池翔、平野貴久の5人の班は、事実上物置と化している空き教室の掃除を担当していました。

「あれ、桐山はどこ行った?」

掃除場所を担当していた藤ヶ谷智先生はめぐみがいないことに気づきました。

「さっき、トイレに行ってくるって言ってました。そのうち来るんじゃないですか?」

咲子が藤ヶ谷先生に事情を説明します。

 その頃、めぐみはと言うと保健室へと向かっていました。

「先生、なんか体調悪いからちょっと休ませて。」

「あら、大丈夫?」

養護の道枝淳子先生が心配そうにめぐみに声をかけます。

「大丈夫、大丈夫。ただ、やる気が出ないだけだから。」

めぐみの返答から状況を察した道枝先生はそれ以上何も言いませんでした。めぐみは保健室のベッドに向かい、掃除場所に向かうことはありませんでした。

 掃除時間が終わり、咲子やひとみが教室に戻るとそこにはめぐみが居ました。

「めぐみ、掃除時間、どこに行ってたの?」

めぐみの姿を見るなり、咲子は言いました。

「なんかやる気起きなくて、保健室で寝てた。」

「ヤバいよ、サボったってバレたら。」

ひとみも心配して言います。

「大丈夫、大丈夫。だって、あそこ空き教室じゃん。だから汚れてたって誰も困らないし。」

めぐみはサボっておきながらも堂々とした口調で言います。

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