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はるのかぜ

第98章 空き教室掃除当番、解散

生徒たちが全員掃除をサボっているとは知らず、藤ヶ谷先生はいつも通り掃除場所に向かいました。そこには生徒の姿はなく、いつまで経っても生徒は来ませんでした。

 放課後、ハルの元に藤ヶ谷先生がやって来ました。

「内海先生、桐山と重岡、注意してくださったんですよね。」

「はい、今朝、2人を呼んで、きちんと掃除するように言いました。」

「実は今日、桐山と重岡どころか、全員掃除に来なかったんですよ。」

「えっ!」

ハルは驚きました。

 翌日の掃除時間、ハルは5人の生徒たちを強制的に掃除場所に連れていきます。そして、藤ヶ谷先生を交えて話し合いが始まります。

「昨日は皆さん、掃除時間に何をしてたんですか?」

ハルはやや強めの口調で言いました。しかし、5人の生徒たちは誰一人口を開きません。

「桐山さん!」

ハルはめぐみを指名します。

「保健室でサボってました。」

めぐみは昨日と変わらぬ口調で堂々と答えます。

「桐山さん、昨日私はちゃんと掃除するようにって話したばっかりじゃない!なんでまた。」

「しなきゃいけないとは思ってたんですけど、やっぱり空き教室ってのがどうもやる気をなくしちゃって。」

ハルはめぐみの発言に呆れながらも続けます。

「重岡さんにも同じように伝えたけど、なぜ昨日もここへ来なかったの?」

「一度、保健室に向かうめぐみを止めようとはしました。でも、勢いに負けて、咲子と2人で保健室に向かってしまいました。」

ひとみは弱々しく答えます。

「じゃあ、戸塚さんも保健室に居たのね。」

「はい。」

咲子も弱々しく返事をします。

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