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はるのかぜ

第98章 空き教室掃除当番、解散

「で、菊池くんと平野くんも保健室に居たの?」

ハルは続いて翔と貴久に尋ねます。

「俺は貴久と放送室に居ました。」

翔が返答しました。

「放送室?」

ハルは聞き返します。

「翔は図書委員の伝達で、何度か放送室に出入りしたことがあるみたいで、俺はそれについて行きました。」

今度は貴久がハルに説明します。

「なるほど。で、なぜここに来ないで放送室に行ったりしたの?」

ハルは再び尋ねます。

「最近、めぐみがここに来なくなったし、それにここ、やっぱり空き教室だから…全員いなくても何とかなるかと思って…。」

翔の声は徐々に弱くなっていきました。

「お前ら、空き教室空き教室ってそんなに空き教室の掃除が嫌か!だったら今日からもう掃除しなくていい!好きにしろ!」

生徒たちの発言をずっと聞いていた藤ヶ谷先生は突然怒り始め、そのまま教室を出ていきました。

「あっ、藤ヶ谷先生、ちょっと待って下さい。みんなはとりあえず、掃除して。」

ハルは、突然飛び出していった藤ヶ谷先生を追いかけようとします。

「いいんじゃないの。好きにしろって言ってたし。」

めぐみは引き続き、反省した様子もなく言います。

「そうだ、そうだ。担当の先生がしなくていいって言ったんだから、みんな、解散。」

翔がそう言うと、5人の生徒たちはバラバラに教室を出ていきます。

「ちょっと、みんな…。」

ハルは必死で止めようとしましたが、生徒たちが足を止める様子はありませんでした。そして、しばらくの間、空き教室の掃除を生徒たちが行うことはなくなるのでした。

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