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はるのかぜ

第103章 お腹の虫が鳴いちゃった

昼休み直後、3年5組の生徒たちは森本先生の国語の授業を受けていました。

「じゃあ、今日からは「高瀬舟」というお話に入ります。まずは教科書を読んでいきましょうかね。そしたら今日は24日だから、まずは24番の藤井さん、読んでちょうだい。」

森本先生に指名され、藤井美雨が立ち上がります。美雨が早速読み始めようとしたとき、彼女のお腹がグ〜っと鳴りました。しかし、美雨は気にせず読み始めます。

「高瀬舟は京都の高瀬川を上下する小舟である。」

その時、再び美雨のお腹の音が鳴りました。その後も、少し読んではグ〜っと美雨のお腹は何度も何度も音を立てます。美雨の席の近くにいた生徒も、お腹がなる音に気づき、徐々に笑い声も大きくなっていきました。

「もう、嫌だ!」

美雨は突然、教科書を机に置き、教室を出ていきました。

「ちょっと、どこ行くの?」

森本先生の声にも美雨は反応せずに走り去っていきます。

 授業を終えた森本先生が教室を出ようとしたとき、美雨の隣の席にいた、岸雅美が声をかけてきました。

「先生、美雨、大丈夫かなぁ。」

「やっぱり、藤井さんに何かあったの?」

「美雨、今日の給食、ほとんど食べてなくて、さっき、何回もお腹鳴ってたんです。」

「そうだったの。」

 職員室に戻った森本先生は、ハルに美雨のことと、雅美から聞いたことを伝えました。2人が話していると養護の道枝先生がやって来ました。

「内海先生、今、保健室に藤井さんが来てるんですが、ベッドに突っ伏せたまま何も言わないんです。」

「あら、保健室に行ってたのね。今、私も内海先生に藤井さんのこと話してたんです。保健室に居るみたいだから行ってあげなさい。」

森本先生がそう言うと、ハルは道枝先生と共に保健室へと向かいます。

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