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はるのかぜ

第104章 食事の大切さ

「授業中に何度もお腹が鳴って、恥ずかしい。」

美雨はそう言って、ベッドに突っ伏せてしまいました。

「自分の体型、気になるわよね。お嬢様だもの。」

そう声をかけたのは道枝先生でした。道枝先生の声で美雨はまた顔を上げました。

「女性なら誰しもが、綺麗になりたいって思うわよね。けどね、藤井さん、今はね、あなたにとって大事な時期なのよ。」

「大事な時期?」

道枝先生の発言に美雨は興味を持ち始めた様子で聞き返します。

「そう。思春期はね、体が成長しようとしている最中で、骨や体が大きくなろうとしてるの。その手助けをしてくれてるのが学校の給食などの食事なの。この時期に食事を制限するとそんな体の成長を妨げて、大人になってから骨がもろくなったりするの。特に女性は妊娠した時とかに子供のために栄養分が多く必要になったりするの。だから、今の時期に栄養を蓄えておくって大事なのよ。将来、ママになってみたいって思ったことない?」

「あります。」

「だったら、今は無理なダイエットはせず、しっかり食べて体を作りましょ。それにね、社会に出てから痩せるチャンスだっていっぱいあるわよ。」

「社会に出てから?」

「うん。私もね、学生時代、少し太ってた時期があったのよ。でもね、大学出てからすぐのことだったわ。最初に私が配属されたのは養護学校でね、みんな障害を抱えた人ばかりだったの。朝から晩までドタバタの1日を過ごしていた影響からか、3年間で10キロぐらい痩せたわ。」

「そうだったんですね。」

「職種にもよるけど、社会に出たら、今よりも体を動かすことは多くなると思うし、そのためには今、エネルギーを蓄えておくことは大事なことなのよ。食べることの大切さわかったかしら?」

「はい。」

「じゃあ、無理なダイエットは今日でおしまい。」

道枝先生が話を終えた直後、またしても美雨のお腹が鳴りました。

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