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はるのかぜ

第105章 気の抜けない試験監督

それからまもなくして、国語から順番に学力テストが始まりました。ハルは3年5組の試験監督をしていました。必死で問題を解く生徒たちの様子を、ハルは教室中をゆっくり歩きながら見ていきます。教室の後方にたどり着いた時、髙地成亮がやけに体を横方向に向けていることに気づきました。斜め前の席には3年5組の秀才、橋本潤がいます。ハルはすぐに成亮に声をかけます。

「何してるの?」

「べ、別に。」

成亮は少し慌てたように言いました。

「今、試験中よ。」

ハルがそう言うと、成亮は前を向いて問題を解き始めました。

 しばらくすると、突然、河合秀明が手を挙げました。

「どうしたの?」

「先生、腹痛いんだけど、トイレ行かせてもらえますか?」

「どうぞ。」

秀明はハルの誘導で教室を出ていきます。

 試験も終盤に入った頃、ハルは岩本さやかがウトウトしているのに気づきました。ハルはさやかの肩を叩きます。すると、さやかは突然立ち上がり大声で言いました。

「すいません。何ページですか?」

他の生徒たちもさやかの発言に大笑いです。

 それからまもなくして、チャイムが鳴り、国語の試験は終了となりました。1時間試験監督をしてみて、ハルは森本先生の発言を実感したのでした。

 今日行われた学力テストの成績は、3年の生徒が今後の進路を決める為の重要な情報となるため、すぐさま成績を出す必要があるのです。ハルも数学の答案用紙を自宅に持ち帰り、自分が担当するクラスの採点を夜遅くまで行っていました。そして、このテストの成績が、また騒動を招くことになるのでした。

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