『はるのかぜ』第106章「ガリ勉生徒のヒステリー」　219ページ

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はるのかぜ

第106章ガリ勉生徒のヒステリー

「先生は受験生の気持ちなんか何もわかってない！僕には技術も家庭科も、美術も音楽も体育もいらない！こんな授業を受けるなら、その間受験勉強していればどれだけ力になると思うんですか！今日から僕は5教科以外の教科は欠席します！」

「橋本、受験も大事だが、今やってる内容はこれからの人生に役に立つ内容だからやってるんだ！」

「僕の人生で一番最初にやって来るのは高校受験です！それ以降の人生に必要なことなら、何も今やらなくたっていいじゃないですか！」

「橋本！」

「落ち着いて、橋本くん。いったい、何があったの？」

ハルが仲裁に入りました。

「僕はとても落ち着いてなんかいられません！こんな受験に必要のない授業は時間の無駄です！この授業、僕は受けられません！」

そう言うと、潤は教室を出ていきました。

「あっ、ちょっと、橋本くん！」

ハルがその後を追おうとしたとき、授業の終わりを告げるチャイムが鳴りました。すると岩橋薫がハルの元にやって来て言いました。

「先生、潤のこと、私に任せてもらえますか？」

「うん。」

ハルは薫の発言を疑問に思いながらも頷きました。すると薫は、潤が走り去っていった方向へと向かっていきます。ハルはそんな薫を背後から優しく見守っていました。