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はるのかぜ

第108章 夏休み早々の家出騒動

ハルが教師になって3ヶ月が経ちました。明日から夏休みということで、ハルは夏休み前の伝達事項を生徒たちに伝えていました。

「じゃあ、最後に、この夏休みは皆さんにとって、高校受験に向けての大切な期間だと思います。しっかり勉強はしていただきたいですが、無理をしないように十分に気をつけてください。じゃあ、終わりましょう。」

「起立!気をつけ!礼!」

「さようなら。」

学級委員の五関翼が号令をかけ、生徒たちは挨拶をします。ハルが職員室に向かって歩いていると、背後から岩本さやかが話しかけてきました。

「ハル先生!今、行ってみたい場所ってありますか?」

「そうねぇ、広島港かなぁ。」

「広島港?」

「うん。私、昔、広島に住んでたことがあってね、何度か行ったことがあるんだけど、すごく気持ちが落ち着く場所だったの。」

「そうなんですね。夏休みの思い出作りの参考にさせてもらいます。」

 次の日、生徒たちは夏休みに入りましたが、教師であるハルはいつも通り出勤し、職員室に居ました。すると用務主任の長尾さんがやって来て言いました。

「内海先生、岩本さやかさんのお母さんからお電話です。」

「わかりました。」

ハルはすぐに電話機の元へ行き、受話器を取ります。

「はい、お電話代わりました。内海です。」

「先生!さやかがいなくなっちゃったんですよ!学校にも来てないですよね?」

さやかの母、満枝はかなり慌てた様子で言いました。

「いえ、学校には来てないですね。」

「もう、どこに行っちゃったんでしょう。ケータイ電話も何度かけても繋がらないし。」

「お母さん、落ち着いてください。私も協力します。」

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