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はるのかぜ

第111章 遠いところに行ってしまった生徒たち

突然、学校で倒れたハル、目覚めたときは病院のベッドの上でした。

「ここは…?」

ハルはか細い声で言いました。

「ハル、あんた、倒れたのよ。」

目の前に居たのはハルの母、弥生でした。

「あっ、このあとも授業がたくさん、あぁ〜。」

状況がわかったハルは慌てて起き上がろうとしますが、体がふらついて、すぐにベッドに倒れ込んでしまいました。

「駄目よ、寝てなきゃ。」

弥生が慌ててハルを止めます。

「授業があるからって帰られたんだけど、さっきまで森本先生もいらっしゃってたの。学校のことは心配しないでゆっくり休んでくださいだって。今は森本先生の言葉に甘えて安静にしてなさい。」

ハルは弥生の言葉をしぶしぶながら受け入れました。

 その頃、森本先生は学校に戻り、3年5組の教室へ向かいました。

「先生、ハル先生は?」

森本先生の姿を見るなり、桐山めぐみがすぐに問いかけました。

「うん、とりあえず、命に別状はないから安心してちょうだい。」

「よかった〜。」

生徒たちから安堵の声が上がります。

「ただね、しばらくは入院になるかもしれないそうです。学校で何かあった時は内海先生に代わって、私が対応します。それから、お見舞いに行きたい気持ちもわかりますが、これだけの人数が病院に押しかけられると、他の患者さんも困ると思います。今の皆さんにできることは、内海先生が一刻も早く復帰できるよう祈ることです。内海先生の状況は私からも逐一報告します。今はみんな心配だとは思うけど、とりあえず、授業に入りましょう。じゃあ、号令お願いします。」

「起立!気をつけ!礼!」

「お願いします。」

五関翼の号令で森本先生の授業が始まりました。

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