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はるのかぜ

第112章 達也からの励まし

次の日曜日、達也はハルのお見舞いに行きました。

「達ちゃん、ごめんね。心配かけて。」

「とんでもない。とりあえず、そこまで顔色悪くなくて安心したよ。」

「入院直後よりかは大分良くなってきてるけど、突然、めまいがするときはまだあったりするの。あとは…今頃、生徒たちは何してるのかなぁって言うのがちょっと気になったりしてね。」

「ハルらしいね。自分の体がボロボロになりながらも生徒のことを気にかけるなんて。」

「だって、4月から、毎日のように顔合わせてたんだよ。急に顔が見れなくなるとなんだか寂しくて。」

「そうだよね。でも、今はハル自身の体が大事だよ。休めるチャンスをもらえたと思って、ゆっくり休んだほうがいいよ。生徒たちだって、元気なハルに会えるのをきっと待ってると思うよ。」

「うん。」

「辛かったら、メールでも電話でもいいから、いつでも僕に連絡して。仕事ですぐ返答できないこともあるとは思うけど、連絡くれれば、必ず返答するから。」

「ありがとう、達ちゃん。」

「じゃあ、そろそろ帰るね。」

「退院したら、また連絡するね。」

「うん、待ってるよ。」

達也が病室を出ようとすると、ハルもベッドから起き上がろうとします。

「だから、ハル、無理しちゃだめだって。」

達也が慌てて止めます。

「でも…。」

「僕なら大丈夫だから。生徒たちのためにも今は安静にしてなきゃ。」

ハルは頷き、ベッドから達也の後ろ姿を見送りました。達也の励ましで、少しばかり元気をもらったハルですが、入院生活はまだまだ続くのでした。

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