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はるのかぜ

第113章 入院しててもやっぱり教師

ハルの入院生活はまだまだ続いていました。今日は少しばかり体調が優れていたので、ベッドから起き上がり、病室の近くにある談話室に向かいました。平日のためか、談話室には数人しか人がいない状況でした。ハルは空いていた椅子に腰掛け、ついているテレビ番組を眺めていました。しばらくするとすぐ近くの席にいる小学生らしき女の子が、ノートを広げた状態で頭を抱え始めました。ハルは後方からさりげなく近づきました。女の子が勉強しているのが算数だとわかったハルは早速手を差し伸べます。

「それはね、通分すればいいの。」

「通分?」

「まだ通分習ってないかな。じゃあ、今まで解いてきた問題を見て。ここまでの問題はみんな分母が同じもの同士だったでしょ。でも、この問題からは分母の数字が違う分数になってるでしょ。こういうときは、無理矢理分母の数字を合わせてあげるの。ちょっとこの紙もらってもいいかな?」

「うん。」

そう言うと、ハルは目の前に置いてあったルーズリーフに手を伸ばします。

「この問題の場合は分母が5と3でしょ。だから、5と3の倍数の15に分母を揃えるの。じゃあ、まずはこっちの2/5だけど、分母の5に何をかけたら15になる?」

「3。」

「そう。だけど、分母にだけ3をかけても同じ数字にはならないから、分子の2にも同じようにかけてあげて6/15にするの。じゃあ、次。今度はこっちの2/3。分母を15にするには何をかければいい?」

「5。」

「そうね。そしたら分子にも同じ5をかけてあげてあげて、10/15になるわね。ここまでくればあとは今までと同じよ。」

「えーっと、16/15」

「正解!」

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