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はるのかぜ

第120章 冬の時代に入ったハル

「新年度になって、ようやくハルも楽になったみたいだね。今年は何年生の担当かい?」

「うん、実は私…教師、クビになったんだ。」

「えっ!なんで?」

「途中で入院したことが影響したの。受験生の担任が途中でいなくなったり、新人研修も途中から受けられなくなったり。こんな先生、学校現場にはいらないんだって。」

「ハル…。」

徐々に涙で声が震えていくハルを見て、達也は言葉を失っていました。

 食事を済ませた後、心配になった達也はハルを家の近くまで送りました。

「この辺でもう大丈夫よ。ありがとう、達ちゃん。」

「うん。ねぇ、ハル。いろいろと大変だとは思うけど、まずはゆっくり休もう。何よりもハルの体が大事だからね。」

「うん、ありがとう。いろいろ話せて、ちょっと楽になったかも。今日は泣いたりしてごめんね。」

「大丈夫だよ。辛いときはまたいつでも連絡して。」

「うん、また何かあったら、連絡する。今日は本当にありがとう、達ちゃん。じゃあね。」

そう言うと、ハルは去って行きました。笑顔で家に帰っていったハルでしたが、達也は今後のハルの事を心配しながら彼女の背中を見送っていたのでした。

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