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はるのかぜ

第125章 ハルが風になるとき

「僕だって、下関で一生懸命探した。でも、全部面接落ちて…。もう、いまの職場がなくなるまで日にちもなくて、仕事がなくなる状態は避けたいと思ったから決めたんだ。何が何でも長野へは行く。仕事がないと生きられないから。ハル、今までありがとう。」

「行かないで。」

「ハル!」

ハルに引き止められた達也は戸惑いを隠しきれません。

「私、達ちゃんまでいなくなられたら、もう何もかもなくなっちゃう。仕事がなくなっても、達ちゃんだけが心の支えだったの。だから、どこにも行かないで。」

ハルは涙ながらに訴えました。

「ハル、どんだけ引き止めても、僕の思いは変わらないよ。」

「じゃあ、私も付いて行く。」

「ハル!」

「私、達ちゃんと一緒にいたい。ずっとずっと一緒にいたい。」

「本当に付いてきてくれるのか?」

「はい。私、あなたに一生付いて行きます。」

「ハル。」

ハルと達也はしばらくの間、誰もいない公園で2人抱き合っていました。冬の夜の冷たい風が吹いていたはずですが、2人の心はそんな寒さも感じない暖かい気持ちに包まれていました。

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