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はるのかぜ

第125章 ハルが風になるとき

家に戻ったハルは、母の弥生と達也とのことを話しました。

「さっきね、達ちゃんと会って。再就職先が決まったって報告受けたの。」

「あら、そうなの。それはよかったじゃないの。」

「ただね、その就職先が長野なんだって。」

「まぁ、随分遠くまで行くのね。」

「それで私ね、達ちゃんとどうしても離れ離れになるのが辛くて、さっき2人で長野に行こうって話になったの。」

「そう。達也くんはハルにとって心の支えになる大切な人なのよね。」

「うん。」

「だったら、今、一緒に付いて行ってあげるべきだと思う。」

「お母さん。」

「お母さんもね、なんとなく気づいてた。正直、仕事がなくなってからのハルはどこか元気がなくて、私も見ていられなかった。でもね、達也くんから電話がかかってきたり、お誘いを受けた時はいつものハルに戻ってた。いつの間にか、達也くんはハルにとってはなくてはならない存在になってたみたいね。ハル、達也くんと一緒に幸せになってね。」

ハルは弥生の言葉に頷きました。

 ハルと達也は出会って6年、この6年間2人には楽しいことだけではなく、辛いことも沢山ありました。楽しいときには2人で笑顔に、辛いときには2人で励まし合ってきたのです。そんな苦楽を共にしてきた2人が長い月日を経て、今、結ばれることになったのです。

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