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はるのかぜ

第127章 今も燻る教師への思い

ハルと達也が長野に越してきて数日後、達也の新しい職場への初出勤日がやって来ました。ハルは妻として達也を見送ります。

「新しい職場でいろいろ大変だと思うけど、無理しないでね。」

ハルが少し心配そうな表情で達也に言いました。

「ありがとう、ハル。じゃあ、行ってくるね。」

「うん、行ってらっしゃい。」

ハルは笑顔で達也を送り出します。

 会社の朝礼では、所属長の松田雄也が仁(じん)と達也のことを紹介します。

「皆さん、おはようございます。今日から新入社員の方が新たに2名加わることになりましたので、私からご紹介させていただきたいと思います。まずは吉澤仁さんです。お名前からおわかりの通り、吉澤聖(こうき)さんの弟さんです。」

「吉澤仁です。この度、ご縁があって兄弟共々お世話になることになりました。よろしくお願いします。」

「それから、もう一人、風間達也さんです。」

「風間達也です。前職は吉澤と同じ職場で、山口県の下関市からやって来ました。よろしくお願いします。」

「2人にはまず研修からスタートしてもらおうと考えています。じゃあ、まずは業務内容や1日の流れなどを聖さんから説明していただこうと思います。」

所属長はそう言うと聖のところへ2人を誘導します。

「はじめまして、仁の兄です。」

早速、聖は達也に挨拶します。

「風間です。この度はいろいろとありがとうございました。」

達也は深々と頭を下げます。

「いやいや、こっちも急な退職者が出たりしたから、2人が来てくれてすごく助かったよ。慣れるまで大変だとは思うけど、頑張ってくれ。」

「はい。」

達也は頷きました。

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