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はるのかぜ

第12章 親子の間の溝

柳沢先生に励まされたハルは、高校受験に前向きに取り組む気持ちになっていました。願書提出まではもう少し日数があるのですが、学校側には進路を把握するため年内に志望校を記載した書類の提出が必要でした。12月のある日、提出期限が日に日に迫ってきたことがハルは気になり、弥生に声をかけました。

「そろそろ、学校に、志望校の提出しなきゃいけなくて…。」

「自分がやった事の重大さがまだわからないの?どこを受けたって、無駄なものは無駄よ。」

ハルは何も言えませんでした。弥生との関係が悪化した原因は自分にあったからです。

翌日の朝のホームルームが終わった時のことでした。ハルは再び柳沢先生に声をかけられました。

「ハル。まだ進路の書類出てないけど、高校は受験するのよね。」

「はい。ただ、あの件以来、お母さんとの関係が悪くなってて、高校受験の話が進まないんです。」

「そう。とりあえず、提出期限はあと数日あるから大丈夫よ。いい方向に進むといいわね。」

「そうですね。」

柳沢先生がハルに話しかけた直後のことでした。職員室に戻った柳沢先生は学年主任の中居昭次先生から声をかけられました。

「柳沢先生、先生のクラスでまだ進路の報告が出てないのは内海だけでしたよね。」

「はい。一応本人は高校受験を希望してはいるみたいですけど、どうやら、この前の騒動以来、親子関係が悪化してるみたいで。」

「そうですか。あの件、本人も反省している訳ですから、もういいと思いますけどね。」

「はい。なのでいらっしゃるかどうかわからないのですが、今日の私の空き時間、私が内海の家に行きまして、親御さんとよく話してみようと思います。」

「それがいいかも知れませんね。」

「はい。」

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