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はるのかぜ

第14章 友の道は同じだった

柳沢先生が弥生の元を訪ねた翌日の朝、ホームルームが終わるとハルは書類を片手に柳沢先生に声をかけました。

「先生、お待たせしてすいません。私の進路、これでお願いします。」

「あら、うまくお母さんとも話がまとまったみたいね。よかったわ。」

「先生、昨日はうちに来てくださったそうで、ありがとうございました。」

「言ったでしょ。ハルがあきらめない限り、最大限の力は尽くしてあげたい って。」

「お陰で話がうまくまとまりました。」

「じゃあ、後はハルの努力よ。残り数ヵ月、全力を尽くしてね。」

「はい。」

柳沢先生は書類を持って職員室へと向かいました。近くでやり取りを見ていた加奈が声をかけました。

「ハル、高校どこ受けることにしたの?」

「青美にしたわ。」

「えっ!青美?実は私も青美なの。」

「えっ!加奈って愛映(あいえい)志望じゃなかったの?」

「最初はそのつもりだったんだけど、愛映、結構レベル高いみたいだから青美にしたの。」

「そっか、じゃあ同じだね。」

「うん。」

志望校を決めたとたんにハルに舞い込んだ朗報でした。

その日の夕方、ハルは塾の教室に居ました。正木先生が授業開始前に言いました。

「えー、皆さんもおそらく、志望校が固まった時じゃないでしょうか?もうすぐお正月ですが、皆さんはゆっくりしている時間はありません。年が明ければ、私立高校の入試が始まります。今年の年末年始はしっかり対策して、笑顔で春を迎えられるよう頑張りましょう。では、今日も入試の過去問を配りますので、これを解きましょう。」

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