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はるのかぜ

第15章 ハルに初めて春が来た

受験生にとって、年末年始が過ぎ去るのはあっという間でした。いよいよ、公立高校の入試日前日となったのです。ハルをはじめとする3年生の生徒に対して学年集会が行われ、木村一也校長が生徒全員に言いました。

「私から皆さんに伝えておきたいことがあります。それは、最後まで諦めないでほしいということです。試験前の勉強も、試験中も諦めたらそこから良い方向に進むことはないでしょう。しかし、最後の1秒まで頑張ればもしかしたら何かひらめき、そのひらめきが未来を作ることになるかも知れません。今までの努力を最大限発揮して頑張ってください。」

翌朝、残念ながら天候には恵まれず、朝から酷い雨風となりました。しかし、受験生は天候に左右される訳にはいきません。ハルは悪天候の中、受験会場へと向かいます。ハルは同じ志望校の加奈と最寄りのバス停で待ち合わせをしました。

「加奈、おはよう。」

「おはよう、ハル。朝から酷い天気だね。」

「本当、ここまで来るのにも大分濡れちゃったわ。」

「早くバスに来てもらわないと困るね。」

加奈がそう言った直後、バスが来て2人を乗せていきました。

高校の最寄りのバス停に着いてからも大変です。ハルが受験する青美高校は長い坂道を登った所にあります。ハルと加奈は雨風にさらされながら坂道を登り、会場を目指しました。

午前8時50分、遂に試験が始まりました。国語、数学、社会、理科、英語の順に次々と試験は進んでいきます。ハルはこれまで努力してきたことを答案用紙にしっかりと書き込みました。ハルは自信は持てませんでしたが、悔いはない試験になったと感じました。

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