テキストサイズ

はるのかぜ

第15章 ハルに初めて春が来た

一週間後、合格発表の日がやって来ました。午前9時、合格者の書かれた掲示板が運び出されてきました。ハルは自分の受験番号85番を必死の思いで探します。77、79、80、81、85…。

「あった!」

自分の番号を見つけたハルは思わず言いました。自分の合格を確認したハルはすぐに加奈に状況を確認します。

「加奈はどうだった?」

「あったわよ!」

「あったの?やった!」

2人がはしゃいでいると聞き慣れた声がハルを呼びます。

「内海さん?」

ハルが振り向くとそこには有紀と愛がいました。

「あっ、高橋さんと岡本さん!私、受かったわよ!2人ともどうだったの?」

「まだ今から見るところ。」

愛が答えました。

「じゃあ、早く見ようよ。こっちよ。」

ハルはまるで案内人のように2人を誘導し、一緒に受験番号を確認します。

「えーっと、岡本さんは36番ね。…あっ、あるよ36番。」

「本当だ!ありがとう。」

「それから、高橋さんは42番ね。…ほら、あそこ!42番。これでみんな合格よ!」

みんなで輪になって大騒ぎです。ハルと親しく絡む2人が、誰なのかわからない加奈もその場の雰囲気に飲まれ、輪の中に入って喜びます。ハルにとってこれが、人生で初めて春が来た瞬間でした。しかし、ハルの夢の実現にはこれからまだまだ長い道のりが続きます。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ