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はるのかぜ

第22章 ハルと数学

テストを間近に控えたある日の昼休みのことでした。有紀はハルに数学でわからない問題があると言いました。

「この問題。因数分解の問題なんだけど、4x2乗-8ax-5a2乗を因数分解するとなんで(2x+a)(2x-5a)になるの?」

「あぁ、これ。これはこの公式を元にやればいいのよ。acx2乗+(ad+bc)x+bd=(ax+b)(cx+d)。」

「ん?」

ハルは理由を説明しますが、有紀の表情は曇ったままです。すると、ハルはさらに説明します。

「まだ、ピンと来てないみたいね。じゃあ、まず因数分解って展開の逆じゃない?私、問題出すから、まず展開してみてよ。」

そう言うと、ハルはルーズリーフを取り出し、問題を書き始めました。

「じゃあ、まずはこれを展開してみて。」

ハルのその一声で有紀は問題を解き始めます。

「えっーと、展開ってこうでいいのよね。」

「うん、合ってる。あと、ここ同類項だから計算してみて。」

「これでいい?」

「うん、正解。じゃあ、こっちも解いてみて。」

「えーっと、今のやり方で行くと…。こうなるわね。」

「うん、こっちも正解。じゃあ、とりあえず2つ展開してもらったんだけど、これを元に説明するわね。まずこっちの問題。(3x+4)(2x+5)を展開すると6x2乗+23x+20。この答えの先頭の6だけど、これって3×2をすれば6になるでしょ。その3と2ってどこにあるかって言うと()の中の前2つの数字でしょ。」

「確かに。」

「それから、今度は一番後。今、こっちは20になってるけど、同じようにかけ算にしてみると、その1つに4×5があるでしょう。じゃあ、この4と5はと言うと、今度は()の中の後2つの数字でしょ。」

「うんうん。」

「それから最後に、真ん中のところだけど、この23って言う数字はさっき計算してもらったように15+8で計算出来たわよね。じゃあ、この15と8はどんなかけ算があるかと言うと、まず15は3×5。それから、8は4×2。じゃあ、この数字はどこにあるかと言うと、()の中の外側同士が3と5、()の内側同士が4と2よね。」

「確かに。」

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