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はるのかぜ

第1章 教師を目指す第一歩

嫌なウワサというのは広がるのが早いものです。先日の校内放送で第一声から声を裏返した生徒はハルであるということは、すぐに学校中に広まり、ハルは廊下でいろんな人とすれ違う度

「あっ!声裏返った子。」

「あの人でしょ。この前の変な放送。」

などと言われるような始末となってしまいました。ハルは教室移動をするのもちょっと億劫になっていました。そんな様子を心配した真美はある日、ハルにこんな話を持ち出します。

「ハル、大丈夫?」

「大丈夫って?」

「あの放送以来、みんながハルのことバカにしてるじゃん。」

「あぁ、そうだね。確かに学校中の視線が気になる。」

「今度さぁ、前田先生のとこ行ってみなよ。」

「前田先生?」

「ほら、あの先生、相談室やってるじゃない。いろいろ力になってくれるかもよ。」

真美の言う前田先生とはハルの副担任の前田文子先生です。ハルは前田先生にとても親近感を感じていました。学校では唯一「ハル」っと呼んでくれる先生でした。

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