テキストサイズ

はるのかぜ

第24章 ハルの失敗

2004年4月、ハルは高校二年生になりました。学年が変わったので、クラス替えはあったのですが、有紀、愛、ミカ、彩は引き続き同じクラスでした。そして、ハルのクラスの担任は去年総合的な学習の時間でお世話になっていた国分先生です。

ある日の朝のホームルームのことでした。国分先生が伝達事項を伝えます。

「明日から学校までのそこの坂道は工事が始まるらしいので行き帰りの通行は気をつけて通るように。それから…」

っとその時、教室の中から携帯電話の着メロが鳴りました。

「おい!誰だ?」

国分先生は教室中を見渡します。

「すいません。私です。」

そう答えたのはハルでした。ハルのその一声が聞こえた瞬間、教室から「えっ?!」という声が多数聞こえました。立ち上がったハルは携帯電話を片手に国分先生の元へ向かい、携帯電話を差し出しました。国分先生も何も言えず、ハルが差し出してきた携帯電話を受け取りました。青美高校では校則で、携帯電話の持ち込みは禁止とされていました。

「じゃあ、さっきの続きだ。それから、地理Aを選択している人。今日はいつもの教室が他の学年の授業で使えないそうだから物理教室で実施しますとのことです。よし、じゃあ伝達事項は以上だ。」

「起立、気をつけ、礼。」

「ありがとうございました。」

学級委員が号令をかけ、挨拶が終わると、国分先生は職員室へと戻っていきました。国分先生の姿が見えなくなるとすぐに有紀がハルの元にやって来て言いました。

「どうしたの、ハル?」

「あぁ、うっかりしてたぁ。」

ハルは力の抜けたような声でそう言いました。

その頃、職員室に戻った国分先生はハルから没収した携帯電話を複雑な思いで少し眺めていました。そして、その携帯電話を机の引き出しの中に入れ、次の授業の準備に入りました。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ