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はるのかぜ

第32章 悪夢が再び

電話で有紀とやり取りをした次の日のことでした。休み時間にハルの元へ有紀がやって来て言いました。

「ハル、昨日は本当にありがとう。」

「どういたしまして。本当にあんなのでわかった?よかったら、今、追加で説明しようか?」

「大丈夫。昨日ので十分よ。本当にハルってすごいね。電話でもあれだけわかりやすく説明できるなんて。」

「とんでもない。教科書に書いてあることを説明しただけじゃない。」

「いやぁ、ハルは本当に先生になれるよ。」

「その言葉信じるよ。それ、有紀に何度も言われてたから、私も数学の先生に向いてるのかなぁって最近思って。」

「えっ!ハル、先生になるの?私も向いてると思う。ハルならきっと、いい先生になると思う。」

「ありがとう。」

有紀の度重なる言葉がハルの夢となったのです。

夕方、ハルは自宅の部屋に居ました。ドアをノックする音がして、母の弥生が入ってきました。

「ハル、方眼ノート見つかったから買っといたわよ。」

弥生はハルにノートを差し出しました。

「ありがとう。これ、学校の売店にもなくって。どこにあったの。」

「すぐそこの文具店にあったわ。」

そんなやり取りをしていた時、弥生はハルの机の上に置いてあった模試の結果に目をやりました。

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