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はるのかぜ

第33章 さらに深まる溝

「あの、すみません。」

親子のやり取りを見ていた長瀬先生が割って入ります。

「お母さんのお気持ちもハルさんのお気持ちもよくわかりますし、ご家庭でいろいろあるのもよくわかりました。高校生活も残り少ない時期なので、一刻も早く進路については決めないといけない時期ではあります。しかし、今の状況では冷静にお話をすることは難しいかと思います。今日は他の方も待ってますし、少し気持ちを落ち着けてから話し合いましょう。」

「申し訳ございません。」

弥生が頭を下げながら言いました。

「先生、最後に一点だけお訪ねしてもよろしいでしょうか?」

「どうぞ。」

「金愛(きんあい)大学の情報工学部ってどうなんですか?」

弥生の突然の発言にハルも驚きました。

「金愛大学ですね。結構、地元の方は悪く言われる方も居るのですが、私はいろんな資格もとることができて、いいと思いますけどね。」

長瀬先生は弥生からの質問に丁寧に回答しました。

「先生、ありがとうございます。では、また、ハルとじっくり話し合って1日でも早く良い報告ができればと思います。」

「はい。よろしくお願いします。」

三者面談は親子の溝が深まる状態で終わりました。果してハルのこれからの道はどうなってしまうのでしょうか?

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