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はるのかぜ

第36章 大学生活、スタート

2006年4月、ハルは金愛大学の情報工学部に入学しました。市内の大学ではありましたが、意外にも同じ高校だった学生はおらず、ハルは緊張の面持ちで学部長の長野亘利先生の話を聞いていました。

「大学生活4年間はこれまでの学校生活と大きく違うところも多いと思います。1人1人履修する科目は違いますし、履修内容によっては自由な時間が持てる時もあると思います。大学生ならではの時間ですので、友達と遊ぶも良し、バイトに尽くすも良しです。ただし、皆さんはあくまでも大学生であることは忘れないでいただきたいですし、バイトや遊びに夢中になりすぎて学業が疎かにならないように気をつけましょう。本学では、皆さんの将来に役立つであろう資格を沢山取得できます。バイトや遊びと両立しながら、有意義な4年間を過ごしてほしいと思います。では、このあとはグループごとに別れてランチタイムとなります。」

この日は新入生に対してのガイダンスの日でした。長野先生の合図で学生たちは食堂へ向かい、各グループごとにテーブルに着席しました。各グループのテーブルに1人、学部の先生が着席し、新入生と学部の教員との交流が始まりました。ハルの所属するグループには井ノ原正人先生が着席し、早速ハルを始めとする学生達と交流を始めます。

「みんな、出身地はどこかな?」

井ノ原先生のその一声に、次々とその場にいた学生たちは答えます。

「僕は北九州です。」

最初に答えたのは三宅拓美という男子学生でした。

「私も北九州です。」

続けて答えたのは森田涼という女子学生でした。

「私は熊本から来ました。」

今度は岡田麻里が答えます。

「僕は埼玉から来ました。」

「おっ!遠いところから来たね。」

立て続けに九州続きだったのもあって、堂本直人のその発言には井ノ原先生も食いつきます。

出身地の紹介はまだ続きます。

「僕は広島から来ました。」

そう答えたのは大野栄司でした。そして、いよいよハルの紹介の番です。

「私は地元、下関の出身です。」

「おぉ、地元かぁ。なら、右も左もよくわかってるね。」

井ノ原先生は地元民の登場にも食いついてきました。

「はい。皆さんも下関のことでわからないことがあれば何でも聞いてください。」

「それは頼もしい!」

ハルの発言に栄司が答えます。

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