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はるのかぜ

第2章 同じゴールを目指す友

次の休み時間、ハルがトイレから出てくると有紀と愛に出会いました。

「内海さんだっけ?さっきはありがとう。」

と有紀はハルに声をかけました。

「どういたしまして。ところで、服とか大丈夫。コーラ派手にこぼれてたけど。」

「うん。幸い二人とも服は汚れなかった。」

愛が答えました。

「ねぇ、内海さんってどこの中学?」

有紀が尋ねます。

「私は山一中。二人はどこなの?」

「私たちは美小(みこ)中。」

愛が答えました。

「へぇ、二人とも遠いところから来てるのね。」

その時、次の授業の開始を告げるチャイムが鳴りました。

「あっ、次の授業だ。」

有紀はそう言うと、ハルと愛と一緒に教室に戻りました。

新学期になり、ハルは引き続き塾に通い続けていました。有紀と愛という二人の友達ができたことは、ハルにとって、とても大きな出来事でした。

ある日、愛は塾を欠席しました。その日の休み時間、ハルは有紀と二人で過ごしていました。

「岡本さん、今日はお休みなんだね。」

「うん。って言うか愛はよくサボるよ。」

「そうなんだぁ。」

「っと言う私もなんだけどね。だって塾って学校と違って休んでも何か影響が出る訳じゃないしね。」

「確かにそうだね。」

「ところで内海さんって高校どこ受けようかもう決めてるの?」

「私?私は、あんまり頭良くないから、淡巻(あわまき)高校にしようかなぁって思ってる。」

「えっ!淡巻?そこなら私も志望校よ。」

有紀の発言に、ハルは驚きました。ハルの塾生活の大きな支えとなった存在の有紀が、自分と同じ志望校を目指していたのです。ハルにとって、有紀や愛と話している時が、塾で過ごしている時間の中で一番楽しい時間でした。そんな有紀と毎日過ごす高校生活を想像すると、まるで夢のような日々に感じました。これが、ハルにとって人生で初めて同じゴールを目指す友を見つけた瞬間でした。

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