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はるのかぜ

第42章 台本のない世界

「なるほど、確かにハルの言うことはわかりますよ。ウッチーもいざ熊本のいいところを聞かれてもこれと言って答えられないと思うし、逆に下関のほうがいろいろと語れそうな印象ですね。」

「そうなんだぁ。ちなみに、ウッチーは下関に対してどんな印象があるの?」

「えーっとね、まず最初にウッチーが感じたのは風が強いなぁって印象。」

「あぁ、これ他県から来た人はみんな言うんですよね。」

「えっ?じゃあ、時々吹くあの突風とかはハルにとってはもう当たり前なの?」

「うん。だって高校の時、それで1年間に傘を3本壊したことあるもん。」

「1年間に3本?結構な本数だね。」

「だってハルの高校山の上にあったから。」

「あっ、そうなんだぁ。確かに山の上なら風もすごいかもね。」

こんな感じに10分程度の練習番組はハルの自己紹介と地元トークで盛り上がりました。たった10分程度の練習番組でしたが、番組を終えたハルはちょっと疲れきっていました。

「お疲れさん。どうだった?」

スタジオの外で様子を見ていた拓哉が言いました。

「やっぱり、台本なく喋るって大変ですね。」

少し疲れた様子でハルが答えました。

「でも、初めての割には喋れてたよ。」

慎吾も答えます。

「まずは回数積んで慣れることだ。」

拓哉も疲れきったハルを励まします。

「はい。」

2人の声かけにハルも頷きます。

そして、この日を境にハルをはじめとするFM制作部の新入生は練習の日々が始まるのでした。

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