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瑠奈。

第1章 愛の無い…

『小泉!何遍言わせんねんこの下手糞!』

『小泉!あほか!お前』

パワハラは止むどころか翌日から一層キツくなった…

その上練習後にはあの気持ち悪い、ねっとりした声を耳元に浴びせては自分の所有物のように体を触り倒す…

他の部員の倍練習して、疲れた体をさらに働かせる…繋がりを求めてきたり、口を使ったり、使い尽くした挙げ句、大事な大会の前に瑠奈は倒れてしまう…

『えっ?妊娠?!だってあの子、まだ一年生ですよ?』
病院に付き添った養護教諭の女教師の甲高い声が不快に耳に届いて目を覚ますとそこは病院の天井だった…

(あー終わったー…優勝できると思ったのに、試合出れねーし…山岸の子供とか…いらねー)

次に目を覚ました時、ベッドの傍に監督の山岸が青ざめた顔で立っていた。瑠奈が目を覚ますなり強めの小声で詰めてくる…

『なぁ!言ってないよな!わしらの関係!言うたらどうなるか分かってるんやろな!なっ!わしが話聞いて、お前は春にレイプされたけど誰にも言えなかったっちゅーことにしてやるから!なっ!なっ!頼むで!柔道部全体に迷惑かかんねんからなっ!なっ!』

(わしらの関係って…お前とセットにされるだけで虫酸が走るわ…)

また心の声を飲み込むと、目尻から涙が流れて伝った…

瑠奈の意思を聞くこともなく手術は決まり、山岸の思惑通りに話が進み、プライバシーの問題から多くの人に話を知られることを避け、離れて暮らす実母にも秘密にすることになった。

盲腸…

腹の中から生命を掻き出されたのを盲腸という病名で隠蔽されたことに、関わった大人たちへの怒りが込み上げた

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