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愛はメロデイにのって

第1章 愛は、メロディにのって

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 そんなある水曜日、小学三年生のなつみちゃんが怪我をしました。
 よそ見をしていてピアノの蓋を閉じたので、指を挟んでしまったのです。
 ウワーンと泣き声がしたので見ると、なつみちゃんの左手から血が床に垂れています。
 救急車と誰かが叫びましたが、
 「いや
  この先の服部外科がいい
  救急車は連絡したりして時間がかかるし
  総合病院に行く」
 望さんが、なつみちゃんに、
 「おじさんが
  病院に
  連れていってあげるね」
 そして、わたしに、ほかの子どもたちは帰して、なつみちゃんのお母さんに連絡をしてと言いました。
 「先生
  慌てないで
  鍵をかけ忘れないで
  後で来てください」
 そう言いながら、泣きじゃくっているなつみちゃんに、タオルで押さえていてねと言い、抱きかかえて服部外科に速足で向かいました。
 「痛いよね
  そうか痛いよね
  大丈夫
  病院ですぐみてもらおうね」
 と、優しく言いながら。
 三年生の女の子といっても、抱いたまま歩くのは大変です。
 それを、怪我とわかったらすぐに抱いてあげて、わたしにも的確な指示をして、速足で約300m先にある服部外科まで躊躇なく行ってくれました。
 望さんの、強さと優しさを感じました。

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