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Melty Life

第1章 告白


 繁華街。

 一年の中で、おそらく最も買い物客らが浮き足立つ季節、その少年と少女はいた。


 店先に並ぶとりどりの春物を、少しでも魅力的に引き立たせるべく備えられた照明器具の光を受けた少年の髪は、ほんのり茶色く透けている。年のほどは二十歳に至るか至らないかだ。小ざっぱりとした黒髪と言い、年頃にしては遊び歩いている感じがなく、自己の主張も不慣れな感じの、謙虚な佇まいをした少年だ。
 少女の方は、年も彼と変わらないように見える。襟元のボタンを一つ外したアイボリーのシャツにデニムのジャケット、ダメージ加工の施してあるラフなパンツスタイルでまとめていて、すいた毛先が肩にぎりぎり触れる長さの黒髪に、はっきりとした目鼻立ちだ。一見、少年にも見紛える少女のすらりとした小柄な体躯が、彼女の柔和さを引き立てている。


 時折、少年は少女を気遣う調子で、何か話しかけていた。


「そう言や◯◯、普段どこで買い物するんだ?本当に遠慮なく言えな。誕生日くらい、兄に格好つけさせろ」

「ありがと。あたし、あんまり買い物ってしないの。◯◯先輩のプライベートを独占出来ただけで、良い思い出作りだよ」

「俺に似て模範的だな。てか、いつまでもそんな呼び方じゃ、兄さん寂しいな。あ、引っ越しは来週だったか?尚更、物入りじゃないか。家具とか食器とか、大丈夫?」

「適当に何とかなる。……◯◯先輩って、本当、お人好しだね」

「──……」

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