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Melty Life

第5章 本音






 年頃の娘を放任しているわけではない家庭、その大黒柱を気取っている父親は、久し振りに再会したあかりの知人が昨年まで近隣に住んでいた女だと知ると、外泊に目を瞑った。

 友人と呼べない関係にあった相手とは、もう関わらない。
 誓って三ヶ月は経つのに、あかりは小野田のいるホテルへ向かった。

 あかりも小野田も、相互に思い入れがあったわけではない。甘くほろ苦いチョコレートを欲していた人間同士が、偶然そこに落ちていたピッタリのものを、共有しただけ。しかし小野田はあかりを部屋に招き入れると、まずお茶を沸かして風呂をはり替えて、出逢ったあの日と同じ物腰でもてなした。

 空白の一年間を世間話の中で報告し合うと、小野田の方も変わりなかった。特定のパートナーが欲しくなることはあっても、他人に気を遣ったりあらゆる自由を諦めたりするよりは、出会い系サイトなどを利用して、ゆきずりの女と楽しむ方が仕事に負担もかからないという。


「あかりちゃんは、お目当の子とは会えた?」

「お陰様で」

「良かった、調子は?まさか本当に離れて見てるだけなんてしてないわよね」


 タイミングが悪かった。しかしたった数時間前に起きたばかりのことを小野田に察しろと求める方が無理な要求で、今年のバレンタインに告白したこと、そのきっかけが二人の恋仇だったことから説明した。

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